この記事は2026年4月時点の情報をもとに作成しています。最新情報は総務省・財務省および各自治体公式サイトでご確認ください。
「自動車税が廃止される」という情報を見かけて、不安になっている方も多いのではないでしょうか。Yahoo!知恵袋では「毎年4万円ちょっと払っていたがいくらになるのか」という質問が短時間で数千ビューを集めています。
結論から言います。毎年支払う自動車税(保有税)は廃止されていません。廃止されたのは車を購入するときにかかる環境性能割という別の税金です。この2つを混同した情報がSNSで広まったことが、混乱の原因です。
この記事では、何が廃止されて何が変わらないのかを整理します。2026年度の税額一覧、将来の税制見直しの方向性、納税時期と支払い方法まで、順に解説します。
自動車税は廃止されない——何が廃止されて、何が変わらないのか
まず最も重要な点を整理します。2026年4月時点で、毎年5月に届く自動車税の通知書は例年どおり届きます。税額も変わっていません。
「廃止」という言葉が一人歩きしている理由は、廃止された税金の名前が紛らわしいからです。廃止されたのは自動車税環境性能割という税金で、車を新たに購入・取得するときだけかかるものでした。毎年払う自動車税とはまったく別の税金です。
以下の表で3つに整理します。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 廃止されたもの | 自動車税環境性能割(車の取得時にかかる税)。2026年3月31日に廃止。 |
| 変わらないもの | 毎年の自動車税・軽自動車税の年額。13年超・18年超経過車の重課(割増)。 |
| これから変わる可能性があるもの | EV向けの保有税の仕組み(2028年度以降の検討段階)。 |
SNSやまとめサイトで広まった誤った情報についても触れておきます。「2026年から13年以上経過した車の自動車税が免除される」という話がありましたが、これはデマです。政府・総務省・税制改正大綱のどこにも、そのような制度は記載されていません。13年超の車への重課(税額が約15%割増になる制度)は、2026年度も変わらず継続されています。
ここで2026年4月以降に実際に変わった点と、変わっていない点を整理しておきます。
| 項目 | 2026年4月以降 |
|---|---|
| 毎年の自動車税の年額 | 変わらない |
| 13年超・18年超の重課 | 変わらない(継続) |
| 車を購入するときの環境性能割 | 廃止(2026年4月1日以降の取得分から非課税) |
| 自動車税の正式名称 | 「自動車税種別割」から「自動車税」に変更 |
| 軽自動車税の正式名称 | 「軽自動車税種別割」から「軽自動車税」に変更 |
| グリーン化特例 | 2028年3月31日まで2年延長 |
| エコカー減税(重量税) | 2028年4月30日まで2年延長(基準は厳格化) |
毎年の税負担という観点では、2026年度も昨年とほぼ同じです。大きく変わったのは車を新たに購入するときの費用です。環境性能割が廃止されたことで、取得時の税負担は軽くなっています。
2026年度の自動車税・軽自動車税の税額一覧
2026年度の自動車税の年額は、排気量と初回新規登録の時期によって異なります。2019年10月1日以降に初めて登録した車は現行税率、それ以前に登録した車はやや高い旧税率が適用されます。
自家用乗用車(2019年10月1日以降に初回新規登録)
| 排気量 | 年税額 |
|---|---|
| 1,000cc以下 | 25,000円 |
| 1,001〜1,500cc | 30,500円 |
| 1,501〜2,000cc | 36,000円 |
| 2,001〜2,500cc | 43,500円 |
| 2,501〜3,000cc | 50,000円 |
| 3,001〜3,500cc | 57,000円 |
| 3,501〜4,000cc | 65,000円 |
| 4,001〜4,500cc | 75,000円 |
| 4,501〜6,000cc | 87,000円 |
| 6,000cc超 | 111,000円 |
自家用乗用車(2019年9月30日以前に初回新規登録)
| 排気量 | 年税額 |
|---|---|
| 1,000cc以下 | 29,500円 |
| 1,001〜1,500cc | 34,500円 |
| 1,501〜2,000cc | 39,500円 |
| 2,001〜2,500cc | 45,000円 |
| 2,501〜3,000cc | 51,000円 |
| 3,001〜3,500cc | 58,000円 |
| 3,501〜4,000cc | 66,500円 |
| 4,001〜4,500cc | 76,500円 |
| 4,501〜6,000cc | 88,000円 |
| 6,000cc超 | 111,000円 |
なお、初回新規登録から13年が経過した車は、上記の金額にさらに約15%の重課(割増)が加わります。これは環境負荷の高い古い車の早期買い替えを促すための制度で、2026年度も継続されています。
軽自動車税
| 区分 | 年税額 |
|---|---|
| 2015年4月1日以降に初回新規登録した軽自動車 | 10,800円 |
| 2015年3月31日以前に初回新規登録した軽自動車 | 7,200円 |
軽自動車税を管轄するのは市区町村です。自動車税(都道府県税)とは課税する機関が異なるため、納税通知書の届け先・問い合わせ先も別になります。
「廃止」の噂の出どころ——環境性能割とは何だったか
自動車に関わる税金のうち、2026年3月31日をもって廃止されたのは自動車税環境性能割です。この税金は2019年に自動車取得税に代わる形で導入されたもので、車を購入・取得する際に1度だけかかる税金でした。
税率は車の燃費性能によって0〜3%で設定されており、EVやPHEVはもともと非課税、ガソリン車は燃費水準に応じて課税される仕組みでした。300万円の新車であれば最大で9万円かかるケースもあり、購入コストに直結する税金でした。
廃止の経緯は次のとおりです。国民民主党が消費税との二重課税解消を主張して廃止法案を提出し、2025年12月に自民・公明・維新との合意により恒久廃止が決定しました。2026年3月31日の参院本会議で地方税法改正案として可決・成立しました。当初は「2年間停止」の方向で議論されていましたが、最終的に恒久廃止に方針が転換されました。
この廃止に合わせて、名称変更も行われました。これまで正式名称だった自動車税種別割は自動車税に、軽自動車税種別割は軽自動車税に、それぞれ名前が戻りました。制度の中身は変わっていませんが、名称が変わったことで混乱を招いた面があります。
整理すると、ニュースで流れた「自動車税廃止」という報道は、正確には自動車税環境性能割の廃止を伝えるものでした。SNSや動画で切り取られた際に誤解が広まり、毎年払っている自動車税がどうなるのかという不安につながったわけです。
環境性能割の廃止で購入コストはいくら変わるか
環境性能割の廃止は、車を買う予定がある方にとって実質的なメリットになります。2026年4月1日以降に取得した車には課税されないため、購入時に環境性能割を申告・納付する必要がなくなりました。
| 購入価格の目安 | 環境性能割の税率(旧制度) | 廃止による節約額の目安 |
|---|---|---|
| 200万円のガソリン車 | 1〜3% | 2〜6万円 |
| 300万円のガソリン車 | 1〜3% | 3〜9万円 |
| 400万円のガソリン車 | 1〜3% | 4〜12万円 |
| EV・PHEV | 0%(もともと非課税) | 変化なし |
ガソリン車の場合は燃費性能によって税率が異なるため、節約額には幅があります。EVやPHEVはもともと非課税のため、廃止による購入コストへの影響はありません。環境性能割は中古車にも適用されていたため、中古車購入の際もコスト減の恩恵があります。
将来の見通し——2028年度以降、保有税はどう変わるか
「では将来的に毎年の自動車税も変わるのか」という点については、現時点では検討段階であり、確定した制度はありません。ただし、政府・与党の税制改正大綱では一定の方向性が示されています。
現在の自動車税は排気量を基準に税額が決まる仕組みですが、EVには排気量がありません。EV普及が進むにつれ、排気量ベースの課税の公平性が問われるようになっています。重量と環境性能に応じた税負担の仕組みへの見直しについて、令和9年度改正で結論を出す方針が示されています。
具体的には、2028年5月以降に初回車検を迎えるEV乗用車から、車の重量に応じた自動車税の仕組みを導入することが検討されています。ガソリン車とEVの間で、保有段階の税負担を公平化するという考え方です。
ただし、ここで難しい問いが生じます。EVに乗り換えれば税金が安くなるという現状の優遇が続くのか、それとも重量課税で逆に負担が増えるケースが出てくるのかは、具体的な税率設計次第です。軽自動車の扱いをどうするか、地方財源への影響をどう補填するかも未解決のまま議論が続いています。
保有税の抜本的な見直しは地方税収に直結するため、総務省・財務省・地方自治体それぞれの利害が複雑に絡みます。EVに有利な税制を作ると地方の財源が減る、重量課税にすると軽自動車ユーザーへの影響が大きいといったトレードオフをどう解決するか、簡単に答えが出る話ではありません。令和9年度改正の議論が本格化する2026年秋以降、改めて注目が集まるテーマです。
消費者として何を注視すればよいか
2026年時点で確定している変化は、購入時の環境性能割がゼロになったことと、保有時の税額は変わらないという2点です。将来の保有税の見直しについては、2027年度改正の議論が始まるまでは動向を見守るしかありません。
現在EV購入を検討している方は、グリーン化特例による初年度の大幅な軽減(概ね75%)と、将来の重量課税導入という2つのシナリオを念頭に置いておくと判断しやすくなります。2028年度以降の重量課税は具体的な税率がまだ決まっていないため、現時点では将来的に負担が変わる可能性があるという前提で情報収集を続けることが現実的な対応です。
現在ガソリン車を保有している方は、2026年度の自動車税の年額は変わらないため、焦って行動する必要はありません。13年を超えた車については重課が続くため、買い替えのタイミングを検討する際の一要素として税負担の増加を意識しておくとよいでしょう。
エコカー減税・グリーン化特例(2026年度)
毎年の自動車税の税額は据え置きですが、燃費性能の高い車には引き続き優遇措置が適用されます。
グリーン化特例
グリーン化特例は、初回新規登録から1年目の自動車税を燃費性能に応じて軽減する制度です。令和8年度税制改正により、2028年3月31日まで2年間延長されることが決定しました。
| 対象車種 | 軽減率の目安 |
|---|---|
| EV・PHEV・燃料電池車・天然ガス車 | 概ね75%軽減 |
| 2030年燃費基準120%達成のハイブリッド車等 | 概ね50%軽減 |
| 2030年燃費基準90%達成の車 | 概ね25%軽減 |
EVの場合、初年度の自動車税が4分の1程度になるため、購入直後の税負担はかなり小さくなります。ただし、軽減が適用されるのは初回登録の年度のみです。
エコカー減税(自動車重量税)
車検時に支払う自動車重量税についても、エコカー減税が2028年4月30日まで2年間延長されています。燃費基準を達成した車の重量税が免税・減税になる制度です。なお、エコカー減税の対象となる自動車重量税は、毎年払う自動車税とは別の税金です。車検のたびに支払うもので、車の重量に応じて金額が決まります。
2026年度から燃費基準が厳格化されている
エコカー減税は2026年度から適用基準が一部厳しくなっています。これまで対象だった車種が基準を下回り、減税を受けられなくなるケースが生じています。新車を検討している場合は、ディーラーにエコカー減税の適用可否を事前に確認してください。
一方でグリーン化特例は延長されており、初回登録年度に限り大幅な軽減が受けられる点は変わっていません。毎年払う自動車税の軽減(グリーン化特例)と、車検時の重量税の軽減(エコカー減税)は制度として別立てになっているため、どちらが適用されるかを車種ごとに把握することが節税につながります。
納税時期・支払い方法・よくある疑問
納税通知書はいつ届く?
自動車税は毎年4月1日時点の所有者に課税されます。納税通知書は5月上旬に、車検証に記載された住所宛てに都道府県から郵送されます。軽自動車税は市区町村から届きます。
2026年の納付期限は原則5月31日ですが、5月31日が日曜日にあたるため、多くの自治体で翌6月1日(月)が実質的な期限になります。自治体によって異なる場合があるため、届いた通知書に記載された期限を必ず確認してください。
支払い方法と手数料の比較
| 支払い方法 | 手数料 | 特徴 |
|---|---|---|
| 口座振替(自動引落) | 無料 | 事前に金融機関で登録が必要。払い忘れがない。 |
| スマホ決済(PayPay等) | 無料 | 通知書のバーコードを読み取るだけで完了。 |
| クレジットカード | 有料(約1%) | ポイントが貯まるが手数料がかかるため実質トントンになりやすい。 |
| コンビニ・銀行・郵便局 | 無料 | 30万円超は対応不可のコンビニもある。 |
手間なく支払うなら口座振替、通知書が届いてすぐに済ませたいならPayPayなどのスマホ決済が便利です。クレジットカードはポイントが貯まる反面、手数料が差し引かれるため実質的な還元率はほぼゼロになるケースが多いです。
延滞した場合のリスク
期限を過ぎると延滞金が発生します。延滞金の年率は、納付期限翌日から1ヶ月以内が約2.5%、それ以降が約8.7%です(2026年の特例基準割合による)。さらに、車検の際には納税証明書の提出または電子的な納税確認が行われるため、未納のままでは車検を受けられません。通知書を紛失した場合は、各都道府県の税務窓口か自治体のウェブサイトから再発行手続きができます。
減免制度(障害者減免等)
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持つ方や、生計を同じくする家族に障害がある場合、一定の条件を満たすと自動車税が全額免除される場合があります。申請は各都道府県の窓口で行います。すでに減免を受けている方も、毎年更新が必要な自治体がありますので、事前に確認してください。
また、生活保護を受給している方や一定の所得要件を満たす方を対象とした減免制度を設けている自治体もあります。詳細は居住している都道府県の税務窓口に確認するのが確実です。
よくある疑問
Q:4月2日以降に車を売却しても、その年の自動車税は払わなければいけないの?
A:払う必要があります。自動車税は4月1日時点の所有者に課税されるため、4月2日以降に売却・廃車にしても、その年度の税金は前の所有者の負担です。ただし、廃車(永久抹消登録)した場合は、月割りで還付される制度があります。売却した場合は還付がなく、次のオーナーとの間で按分する慣行が一般的です。
Q:車検のときに払う税金と、毎年の自動車税は別物なの?
A:別物です。車検時に支払うのは自動車重量税です。車の重量と経過年数に応じた税金で、車検のたびに納めます。毎年5月に届く通知書で支払うのが自動車税(または軽自動車税)で、排気量をもとに計算されます。名前が似ていますが、課税する機関も仕組みも異なります。
Q:軽自動車税を払い忘れた場合、どうすればいい?
A:市区町村の税務窓口に連絡して、振込用紙の再発行を依頼してください。延滞金は日割りで発生するため、気づいた時点でできるだけ早く支払うことが大切です。また、軽自動車税の未納が続くと、次の車検で支障が出る場合があります。
Q:引越しで住所が変わった場合、通知書は新住所に届く?
A:車検証の住所変更手続きをしていない場合、旧住所に通知書が届きます。住所変更後は速やかに変更登録を行い、自動車税の届け出先も変更する必要があります。転居後しばらくして通知書が届かない場合は、管轄の都道府県税務窓口に問い合わせてください。

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