2026年4月24日から、日本発着の全航空便でモバイルバッテリーに関する新ルールが適用されています。個数制限が変わり、機内での充電行為にも制限がかかりました。知らずに持ち込むと、空港でバッテリーを没収されたり、法律違反に問われる可能性があります。この記事では、何がいつから変わったのか、自分のバッテリーは持ち込めるのか、違反したらどうなるのかを、表を使って順番に解説します。
2026年4月24日から何が変わる?新ルール3つのポイント
新ルールは国土交通省(航空局)が2026年4月14日に正式発表し、同月24日から日本発着の全航空便に適用されています。背景には、ICAO(国際民間航空機関)が2026年3月27日に承認した技術基準の追補があります。
今回の改正で変わったのは、大きく3点です。また2025年7月からすでに適用されている継続ルールもあわせて確認が必要です。
| 内容 | 施行日 | 備考 |
|---|---|---|
| 持ち込み個数を1人2個に統一(新規制) | 2026年4月24日〜 | 容量にかかわらず全て2個まで |
| モバイルバッテリー本体への充電禁止(新規制) | 2026年4月24日〜 | 航空法違反・刑事罰あり |
| モバイルバッテリーからの機器充電禁止(新規制) | 2026年4月24日〜 | 規則違反・刑事罰なし |
| 頭上収納棚への保管禁止(継続ルール) | 2025年7月8日〜 | 新規制ではなく既存ルール |
| 預け入れ禁止(継続ルール) | 従来から | 変更なし |
ポイント①:持ち込み個数が「1人2個まで」に統一
従来は、100Wh以下のモバイルバッテリーには個数制限がありませんでした(合理的な数量のみ)。個数制限の2個が適用されていたのは、100〜160Whの範囲に限られていました。
今回の改正で、容量にかかわらず全てのモバイルバッテリーが1人あたり2個までに統一されました。3個以上は容量に関係なく持ち込めません。複数台を普段から持ち歩いている方は注意が必要です。
ポイント②:本体充電が航空法違反に(刑事罰あり)
機内電源(USBポートやコンセント)を使ってモバイルバッテリー本体を充電する行為が、航空法に基づく法律違反になりました。違反した場合、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
「座席のUSBでバッテリーを充電して、そこからスマホを充電する」という使い方が、最も厳しく禁止されている点として覚えておいてください。
ポイント③:機器充電禁止(規則違反だが刑事罰はなし)
モバイルバッテリーを使ってスマートフォンやタブレットを充電する行為も、規則上は禁止となっています。ただしこちらはポイント②と異なり、航空法上の刑事罰の対象ではありません。中止指示や没収、搭乗拒否という形での対応になる可能性があります。
なお、機内備え付けのUSBポートや電源コンセントから直接スマートフォンを充電することは、引き続き問題ありません。禁止されているのは「モバイルバッテリーを介した充電」です。
【参考】2025年7月から継続しているルール
頭上収納棚(オーバーヘッドビン)へのモバイルバッテリー保管禁止は、2025年7月8日からすでに適用されているルールです。今回の新規制とは別物ですが、あわせて守る必要があります。モバイルバッテリーは座席ポケットや膝の上など、常に目の届く場所に置いてください。
航空会社別・新ルール対応一覧(JAL・ANA・LCC全社)
定期航空協会(JAL・ANAなど国内外の主要航空会社が加盟)を通じて統一対応が発表されており、国内主要航空会社のルールは原則同一です。各社独自のルールは現時点でありません。
| 航空会社 | 個数上限 | 本体充電 | 機器充電 | 頭上収納棚 |
|---|---|---|---|---|
| JAL(日本航空) | 2個まで | 禁止(刑事罰あり) | 禁止(刑事罰なし) | 禁止(2025年7月〜) |
| ANA(全日本空輸) | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
| Peach Aviation | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
| ジェットスター・ジャパン | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
| スカイマーク | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
| Spring Japan(春秋航空日本) | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
| AIRDO(エア・ドゥ) | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
| ソラシドエア | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
| スターフライヤー | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
| ZIPAIR Tokyo | 2個まで | 同上 | 同上 | 同上 |
外資系航空会社については、日本発着の便には国交省基準が適用されるため、同じ制限が課されます。韓国系航空会社(大韓航空・アシアナ航空など)は、エアプサン事故以降すでに独自の充電禁止措置を設けていた経緯があり、日本のルールとほぼ同内容となっています。
搭乗前に各航空会社の公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。ルールの詳細運用は今後変更される可能性があります。
自分のバッテリーは持ち込める?Wh確認の方法
制限の基準は「Wh(ワット時)」という単位です。製品本体またはパッケージにWhが記載されている場合はその数字で確認できます。記載がない場合は、mAhと電圧から計算で求められます。
計算式はシンプルです。
Wh = mAh × 電圧(V)÷ 1000
一般的なモバイルバッテリーの電圧は3.6〜3.7Vです。ラベルに電圧の記載がない場合は3.7Vで計算してください。
| 表示容量(mAh) | 計算結果(3.7V換算) | 持ち込み | 個数上限 |
|---|---|---|---|
| 10,000mAh | 約37Wh | ○ | 2個まで |
| 20,000mAh | 約74Wh | ○ | 2個まで |
| 27,000mAh | 約99.9Wh | ○ | 2個まで |
| 30,000mAh | 約111Wh | ○ | 2個まで |
| 43,000mAh | 約159Wh | ○(ぎりぎり) | 2個まで |
| 44,000mAh超 | 160Wh超 | ✕ | 持ち込み不可 |
ノートPCに内蔵されたバッテリーは、機器本体に装着された電池として扱われるため、モバイルバッテリーの個数制限の対象外です。カメラの予備バッテリーも、100Wh以下であれば個数制限なく持ち込めます。ワイヤレスイヤホンの充電ケースも問題ありません。
容量が表記されていない製品は、保安検査で判断が難しくなる場合があります。メーカーの公式サイトでWh数を確認しておくか、Wh表記のある製品に買い替えることを検討してください。
違反したらどうなる?罰則の実態
新ルールに違反した場合の対応は、違反行為の種類によって異なります。
| 違反行為 | 法的扱い | 想定される対応 |
|---|---|---|
| 本体への充電 | 航空法違反 | 2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| モバイルバッテリーからの機器充電 | 規則違反(刑事罰なし) | 中止指示・バッテリー没収・搭乗拒否 |
| 3個以上の持ち込み | 規則違反 | 超過分の没収 |
| 預け入れ荷物への混入 | 規則違反 | 没収・持込切替指示・搭乗拒否 |
| 頭上棚への保管 | 規則違反 | 移動指示・没収 |
没収されたモバイルバッテリーは原則として廃棄処分になります。リチウム電池の航空輸送には制限があるため、自宅への郵送対応は基本的に行われていません。高価なバッテリーでも戻ってこないと考えてください。
預け入れ荷物の中に入れていた場合は、保安検査や搭乗時に発見されると持ち込みへの切り替えを求められます。切り替えができない場合(スーツケースに施錠済みなど)は、搭乗できないケースもあります。出発直前に慌てないよう、パッキング段階で確認してください。
機内充電できない時代の賢い対策
モバイルバッテリーを使った充電ができなくなった以上、事前の準備が唯一の対策です。
搭乗前の空港で満充電にしておくのが基本です。主要空港のラウンジ、カフェ、コンビニエンスストアには電源コンセントが設置されています。保安検査後のエリアにも電源付きの椅子や充電スポットがある場合があります。
機内でどうしてもスマホやタブレットを充電したい場合は、機内備え付けのUSBポートやコンセントを利用します。ただし座席によって電源の有無が異なります。特に国内線では電源なしの機材も多いため、搭乗する機材の仕様を航空会社のサイトで確認しておくと安心です。
長時間フライトでは、スマホの機内モードを活用するとバッテリーの消耗を大幅に抑えられます。動画をあらかじめダウンロードしておき、オフラインで視聴するのも有効です。
なぜここまで厳しくなったのか
規制強化の直接のきっかけは、モバイルバッテリーの発火事故の増加です。
2025年1月28日、韓国・金海国際空港でエアプサン391便の機内後方の頭上収納棚に入れられていたモバイルバッテリーから火災が発生しました。全搭乗者176人全員が緊急脱出スライドで機外に脱出しましたが、27人が負傷しました。
リチウムイオン電池は「熱暴走(thermal runaway)」と呼ばれる現象が起きると、内部温度が連鎖的に上昇してガスが発生し、発火に至ります。衝撃・短絡・過充電・製造不良などが引き金になります。機内という密閉環境では消火が難しく、航空安全上の重大なリスクとなります。
こうした事故を受けてICAOが2026年3月に技術基準を改訂し、日本はいち早くこれを国内法に反映させた形です。
規制強化への賛否
今回の規制強化に対しては、さまざまな意見があります。発火リスクのある機器の使用を制限するのは当然という声がある一方、長時間フライトで充電手段を失うことへの不満も根強くあります。特に子連れ旅行者からは、タブレットが使えなくなることへの困惑の声が多く聞かれます。そもそも航空会社が全座席に電源を整備すべきではないか、という指摘もあります。
規制のあり方については明確な正解がありません。さらにIATAの2027年版では100Whを超えるモバイルバッテリーの持ち込みが一層厳しくなる可能性も指摘されています。旅行スタイルに合わせた対策を今から考えておくことが、今後も重要になりそうです。

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