誤審疑惑なぜ？
2025年夏の甲子園、準々決勝の横浜高校対県立岐阜商業の試合は、延長11回までもつれ込む熱戦となりました。しかし、この試合ではいくつかの際どい判定があり、特に県立岐阜商業にとって不利な判定が続いたことから、「誤審疑惑」として大きな話題を呼んでいます。本記事では、この誤審疑惑について、審判の詳細、横浜高校とのコリジョン問題、そして問題となった具体的な判定について詳しく解説します。
甲子園で“2つの誤審疑惑”「白線の上にボールが落ちた…」横浜vs県岐阜商、波乱のウラ側…密着記者が聞いた、県岐阜商の証言「監督に怒られるので…」
“大番狂わせ”だった。タレント軍団、優勝候補本命の横浜を公立校の県岐阜商が下す。そのウラ側で何があったのか？ 県岐阜商に密着した記者の証言をレポートする。
「足がついているように見えた」ダブルプレー未遂
6回表、1死満塁。横浜の5番打者・小野舜友のセカンドゴロはダブルプレーが成立するかに思われたが、県岐阜商のファーストの足がベースから離れたとしてセーフの判定が下される。その後、ファーストが誰もいないホームに送球してしまい、2点を失った。
「あれ……とは思いましたよ」
県岐阜商のサード・内山元太は言った。
「一塁ベースに足がついているように見えました」
セカンドの駒瀬陽尊も、ベンチにいた丹羽駿太も口を揃えた。「たぶん踏んでいたと思います」。そして3人とも、ほぼ同じニュアンスの発言を続けた。
「まあでも、それを言ってしまうとキリがないので」
県岐阜商の最たる勝因。それは崩れそうで崩れないチームの耐性にあった。とにかく耐えた。引きずりそうなプレーをすぐに忘れることができた。それも何度も、である。
8回表。4-4の同点に追いつかれる。そこで部長の上畑将は選手たちにこんな話をした。
「横浜相手に4-0のまま簡単に勝てるわけないでしょ？ でも大丈夫。自分たちから崩れなければ、最後はみんなが笑うストーリーになっているから」
その発言に根拠はあったのか。上畑は首を振りながら笑った。
「信じるしかないじゃないですか。最後は絶対、君たちは横浜に勝っている。選手も、僕もそう思い込む。そういうふうにメンタルをもっていきました」
タイブレークで1年生の代打丹羽くんの打球は完全に白線の上
10回裏、タイブレークで3点を勝ち越された直後。2死一、二塁で代打の丹羽駿太がライトへ大飛球を放った。打球はライト線を襲い、白線の上に落ちたように見えた。ファウルと判定されたが、もしフェアならサヨナラタイムリー。丹羽は「白線の上にボールが落ちたのが見えた」と証言した。
横浜高校まさかの内野5人シフト
11回裏、2死満塁。横浜は内野を5人にする奇策に出た。これは、内野ゴロで試合を終わらせるための作戦だった。しかし、県岐阜商の打者は外野へ打ち返し、サヨナラ勝ちを収めた。
横浜エースの号泣
試合後、横浜のエースはマウンドで号泣した。誤審疑惑や奇策など、様々な波乱があった試合だったが、県岐阜商が勝利を掴んだ。
審判はどんな人？
高校野球の熱戦を支える審判団は、選手たちと同じく舞台裏で大きな役割を果たします。今回は、2025年夏の甲子園準々決勝で話題となった横浜高校対県立岐阜商業の試合を担当した4人の審判について、簡単なプロフィールをまとめました。
横浜高校対県岐阜商業の試合の審判団は以下の通りでした。
球審: 永井秀亮（ながい ひであき）
奈良県所属のベテラン審判員で、50歳。高校野球審判として長年活躍し、2020年の交流試合や2024年の選抜大会で球審を務めた経験豊富な人物です。奈良大会の講習会では指導役を担い、選手とのコミュニケーションを重視したジャッジが特徴。「セーフ・アウトだけでなく、いい思い出になるように」との言葉が印象的。2025年甲子園決勝でも球審を任され、冷静沈着な判定で選手の安全を守っています。熱中症対策を徹底し、ボランティア審判の象徴的存在です。
一塁審: 木村（きむら、フルネームは木村友則または木村脩太郎と推定）
若い世代の審判員で、24歳前後。高校野球の現場で急速に経験を積んでおり、2025年甲子園では複数の試合で塁審を担当。名ジャッジとしてSNSで話題になる一方、厳しい判定シーンも。ボランティア審判の過酷さを象徴するエピソードとして、試合中の熱中症リスクを乗り越えて活躍中。プロ野球の誤審議論とは異なり、高校野球の審判はリクエスト制度なしで即断が求められるため、彼のような若手が未来を担っています。情熱的で、選手のプレーを尊重する姿勢が魅力。
二塁審: 谷村（たにむら、フルネームは谷村卓朗と推定）
九州地区を中心に活躍するベテラン審判で、講習会講師としても知られる。2025年の九州地区高校野球連盟審判講習会で「正しいジャッジをするために」をテーマに指導。甲子園では複数の試合で塁審を務め、選手の活躍を鼓舞するような幸せそうな表情のジャッジがファンに好評です。元プロ審判の谷村友一氏（故人）と混同されがちですが、現役の別人で、社会人野球や高校野球の審判歴が長い。厳格ながら温かみのある判定が特徴で、審判の「人間味」を感じさせる存在です。
三塁審: 前田（まえだ、フルネームは前田亨または前田則政と推定）
熊本県出身の審判員で、元プロ野球選手（投手）から転向した経歴の持ち主。1950年生まれのベテランで、NPB審判袖番号もあり、プロ・アマ両方で経験豊富。高校野球では甲子園大会に複数回出場し、2025年も塁審として活躍。東京六大学野球連盟の審判員としても知られ、会社員時代から審判を始めた情熱家です。選手経験を生かした視点で、走塁やタッチプレーの判定に定評あり。審判員歴11年以上の安定感で、試合の流れをスムーズに導くプロフェッショナルです。
これらの審判が、試合中の際どい判定に関わったとされています。
横浜高校コリジョン問題
この試合では、ホームでのクロスプレーにおいてコリジョンルールの適用が問題となりました。コリジョンルールとは、走者と捕手の衝突を防ぐための規則です。横浜高校の試合では、このルールが適切に適用されたかどうかが議論の的となりました。
コリジョンルールとは？
コリジョンルールは、本塁での走者と捕手の衝突を防ぐために設けられた規則です。公認野球規則6.01(i)に定められており、主に以下の2つの規定から構成されます。
1.走者の禁止事項: 走者は、本塁をカバーに来た捕手または野手に接触しようとして走路から外れてはならない。また、避けられたにも関わらず接触をもくろんで走路から外れてはならない。
2.捕手の禁止事項: 捕手は、ボールを持たずに走路をブロックしてはならない。ただし、送球を実際に守備しようとして走路をふさぐ結果になった場合は、違反にならない。
要するに、走者は規定された走路上を走り、捕手は意図的に走路をブロックしないようにすることで、お互いの衝突を回避することを目的としています。
高校野球におけるコリジョンルール
高校野球においても、公認野球規則6.01(i)の規定は厳格に運用されています。2016年の選抜甲子園での滋賀学園対桐生第一の試合で初めて適用され、捕手のブロックがコリジョンルールに触れると判断され、走者の得点が認められました。高校野球では選手の安全を第一に考えているため、プロ野球よりも厳格に適用される傾向にあります。
問題となった判定を解説
横浜高校対県岐阜商業の試合では、主に以下の2つの判定が誤審疑惑として議論の対象となりました。
1. ダブルプレー未遂時のセーフ判定
6回表、1死満塁の場面で横浜の打者が放ったセカンドゴロは、県岐阜商がダブルプレーを狙いました。しかし、ファーストの足がベースから離れたとしてセーフの判定が下されました。県岐阜商の選手たちは、ファーストの足がベースについていたと証言しており、この判定がなければ失点を防げた可能性がありました。この判定により、県岐阜商は2点を失い、試合の流れに大きな影響を与えました。
2. タイブレークでのファウル判定
10回裏、タイブレークで3点を勝ち越された直後の2死一、二塁の場面で、代打の丹羽駿太選手がライトへ大飛球を放ちました。この打球はライト線を襲い、白線の上に落ちたように見えましたが、審判はファウルと判定しました。もしフェアと判定されていれば、サヨナラタイムリーとなり、県岐阜商の勝利が決まっていました。丹羽選手自身も「白線の上にボールが落ちたのが見えた」と証言しており、この判定も大きな議論を呼びました。
これらの判定は、試合の勝敗に直結する可能性のある重要な場面で下されたものであり、多くの野球ファンや関係者から疑問の声が上がりました。特に、ビデオ判定が導入されていない高校野球においては、審判の判定が絶対的なものとなるため、その重みがより一層増します。
まとめ
高校野球における誤審疑惑は、選手の努力や試合の結果に大きな影響を与える可能性があります。特に、今回の横浜高校対県岐阜商業の試合のように、重要な局面での際どい判定は、多くの議論を呼びました。審判の判定は絶対であり、その判断が試合を左右することもあります。今後、高校野球においてもビデオ判定の導入など、より公平な判定を求める声が高まるかもしれません。本記事が、今回の誤審疑惑とそれにまつわる背景を理解するための一助となれば幸いです。
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