ホルムズ海峡封鎖で買えなくなるもの一覧|食料・おむつ・洗剤が消える前に知っておくべきこと

2026年2月28日、米国・イスラエルがイランへの大規模攻撃を実施し、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥りました。

ニュースでは「原油価格の高騰」や「石油備蓄254日分」といった話が中心ですが、多くの人が本当に知りたいのは、自分たちの毎日の暮らしにどう影響するのかではないでしょうか。

パンや卵はいくら上がるのか。おむつや洗剤は買えなくなるのか。いつから影響が出始めるのか。

ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約2割が通過する、地球上で最も重要なエネルギーの大動脈です。日本が輸入する原油の約9割がこの海峡を通っており、封鎖は日本経済に直撃する事態です。

この記事では、ホルムズ海峡封鎖が日本の食料品・日用品にどう波及するかを、政府統計やシンクタンクのデータをもとに品目別にわかりやすく解説します。

目次

ホルムズ海峡封鎖とは?今なにが起きているのか

2026年2月28日、米国は「Operation Epic Fury」、イスラエルは「Operation Roaring Lion」と名付けた協調作戦でイラン全土の軍事施設を攻撃しました。これに対しイラン革命防衛隊(IRGC)が報復措置として、ホルムズ海峡を通過する船舶に対してVHF無線で航行禁止を通告。実際にタンカーへの攻撃も行われ、海運会社が一斉に通航を停止しました。

イラン政府は公式には封鎖を否定していますが、実態としてホルムズ海峡の通過船舶は約7割減少。日本郵船・商船三井・川崎汽船の大手3社も通航停止を指示し、約750隻が海峡付近で立ち往生しています。

日本政府の対応としては、高市早苗首相が3月2日の衆院予算委員会で石油備蓄は254日分あると説明。エネルギー供給や金融市場、物価の動向を注視し、国民生活への影響を最小限に抑えるため必要な対応を機動的に講じると述べました。木原誠二官房長官も石油需給に直ちに影響は生じないとしつつ、存立危機事態や重要影響事態には現時点で該当しないとの判断を示しています。茂木敏充外相はイランの駐日大使と面会し、ホルムズ海峡の安全確保を要請しました。

政府の発表どおり、石油がすぐに底をつくことはありません。しかし問題の本質は、石油そのものの枯渇ではなく、原油価格の高騰がさまざまな経路を通じて私たちの生活コストを押し上げることにあります。

なぜ石油の問題が食料・日用品に波及するのか

石油が値上がりするとガソリンや電気代だけが上がると思いがちですが、実際の影響範囲ははるかに広いです。原油価格の高騰は、主に4つのルートで食料・日用品の価格を押し上げます。

1つ目は物流コストの上昇です。日本国内の食品・日用品の輸送はトラックが中心で、軽油価格の上昇がそのまま運賃に反映されます。食品価格に占める物流費の割合は5〜15%程度とされており、この部分がダイレクトに値上がりします。

2つ目は肥料・農薬の高騰です。化学肥料の原料は天然ガスや石油であり、農薬の多くも石油化学製品です。原油高は国産の農作物にもコスト増をもたらします。

3つ目は包装材料の値上がりです。食品トレー、ラップフィルム、ペットボトル、ビニール袋など、スーパーで目にするほぼすべての包装は石油化学製品でできています。

4つ目はハウス栽培の加温コストです。トマト・キュウリなどのハウス栽培は重油や灯油で加温しており、原油高がハウス野菜の価格に直結します。

つまり、国産食品であっても原油高の影響からは逃れられません。日本の食料自給率はカロリーベースで38%、小麦は87%、大豆は94%が輸入に頼っているうえ、国産食品も肥料・燃料・包装材で石油に依存しています。

これが、石油の問題が台所の問題に変わる仕組みです。

さらに見逃せないのが、国際的な船舶運賃の高騰です。ホルムズ海峡が使えなくなると、アフリカ南端の喜望峰を回る迂回ルートを取らざるを得ません。これにより航行日数は通常より15〜20日長くなり、燃料費や保険料を含めた輸送コストは2倍以上に跳ね上がります。たとえ食料品の輸入元がホルムズ海峡と無関係な地域(北米や豪州など)であっても、世界的な運賃上昇の影響を受けるのです。

値上がりする食料品一覧|パン・卵・冷凍食品はいくら上がる?

では具体的に、どの食品がどれくらい値上がりする可能性があるのでしょうか。2022年の原油高騰時に実際に起きた値上げデータをもとに、品目別に整理します。

パン・麺類

日本で消費される小麦の87%は輸入品です。小麦そのものはホルムズ海峡を経由しませんが(主な輸入元は米国・カナダ・豪州)、世界的な船舶運賃の高騰と燃料費の上昇が輸入価格を押し上げます。喜望峰経由の迂回ルートでは通常より15〜20日余計にかかり、輸送コストは2倍以上に膨れ上がります。

2022年には山崎製パンが食パンを平均9%値上げ、日清フーズが小麦粉を3〜6%、乾麺・パスタを3〜9%値上げしました。今回も封鎖が1ヶ月を超えれば同規模以上の値上げが予想されます。

食用油

食用油の原料であるパーム油は東南アジアからの輸入がメインですが、原油価格と連動しやすい性質があります。原油が上がるとバイオ燃料用の植物油需要が増え、食用油の価格も押し上げられるためです。

2022年には日清オイリオが年間6回、累計で1kgあたり240円以上の値上げを行いました。食用油はあらゆる加工食品に使われるため、波及範囲が非常に広い品目です。

肉・卵・乳製品

肉や卵が値上がりする理由は、家畜のエサ(飼料用トウモロコシ)がほぼ100%輸入に依存しているためです。原油が上がるとトウモロコシのバイオ燃料転用が増え、飼料価格が上昇し、それが肉・卵・牛乳の価格に転嫁されます。

2022年には日本ハムがハム・ソーセージを5〜12%値上げしています。飼料価格の上昇から畜産物の値上げまでには通常3〜6ヶ月のタイムラグがあります。

冷凍食品・加工食品

冷凍食品は原材料費+包装材費+冷凍保管の電力費+輸送費と、原油高の影響を多重に受ける品目です。2022年には味の素冷凍食品が4〜13%、マルハニチロの冷凍農産品が5〜23%値上げされました。

ハウス栽培野菜

トマト・キュウリ・ピーマンなどの冬〜春のハウス栽培品は、ビニールハウスの加温に重油や灯油を大量に使います。農水省は2022年にも施設園芸農家向けの緊急対策を実施したほど、原油高の直撃を受けやすい品目です。

ただし重要な補足として、2008年に穀物の国際価格が3倍に高騰した際でも、日本の食料品CPIの上昇は2.6%にとどまりました。これは日本の飲食料最終消費額に占める輸入農水産物の割合が約2%と低いためです。すべての食品が一気に2倍、3倍になるという極端なシナリオは考えにくいですが、じわじわと全品目で数%〜10%以上の値上がりが数ヶ月かけて進行するイメージです。

見落とされがちなのは、国産の食品も値上がりするという点です。日本の農業はトラクターの燃料、ビニールハウスの加温、肥料の製造、収穫後の冷蔵・輸送のすべてで石油に依存しています。スーパーの棚で国産野菜を手に取っても、その価格には石油コストが織り込まれているのです。帝国データバンクの調査によると、2022年の食品値上げは25,768品目、2023年はさらに32,396品目に達し、過去30年で最大の値上げラッシュとなりました。値上げ理由として原材料高を挙げた企業は98%、エネルギー高を挙げた企業は86%にのぼっています。

値上がりする日用品一覧|おむつ・洗剤・ペットボトルの原料は石油

次に日用品への影響を見ていきます。日用品の多くは、原油から精製されるナフサを出発点とした石油化学製品でできています。

おむつ・生理用品

赤ちゃん用おむつと生理用品は石油化学製品の塊です。肌に触れる不織布はポリプロピレン、水分を吸収する高吸収性ポリマー(SAP)は石油由来のアクリル酸、外装フィルムもプラスチックです。

花王は2022年4月にベビー用紙おむつを約10%値上げしており、原油・パームオイル・パルプの高騰を理由に挙げました。子育て世帯や介護世帯では毎日使う必需品だけに、家計への打撃は大きくなります。KSBニュースが算出した赤ちゃん関連用品の物価上昇率は、一般的なCPIの2倍以上というデータもあります。

洗剤・シャンプー・石鹸

洗剤の洗浄力を生み出す界面活性剤には石油由来のものが多く使われています。加えてプラスチック容器の原材料費も上がるため、製品価格への影響はダブルで効いてきます。

2022年の原油高局面では、花王・ライオンなどの大手が洗剤やシャンプーの値上げを実施しました。今回も封鎖が長期化すれば、3〜6ヶ月後にはドラッグストアの棚で値札の変化を目にすることになるでしょう。

ペットボトル

ペットボトルの素材であるPET樹脂は、原油→ナフサ→キシレンとエチレン→テレフタル酸とエチレングリコール→PETという工程で製造されます。飲料メーカーにとって容器コストの上昇は避けられず、飲料価格にも転嫁されます。

その他の石油由来日用品

ゴミ袋、食品保存用ラップ、衣類(ポリエステル・ナイロンなどの合成繊維)、化粧品の容器なども石油化学製品です。スーパーやドラッグストアに並んでいる商品の大半に、なんらかの形で石油が関わっていると考えてよいでしょう。

意外に見落とされがちなのがティッシュペーパーとトイレットペーパーです。紙そのものはパルプ(木材)が原料ですが、製造工程で大量のエネルギーを消費するため、原油高はダイレクトにコスト増につながります。さらに製品を包むフィルムもプラスチック製です。1973年のオイルショックでトイレットペーパーが買い占めの象徴になったのは、石油と紙製品のつながりを多くの人が直感的に理解したからかもしれません。

原油価格の変動が日用品の店頭価格に反映されるまでには一般的に3〜6ヶ月かかります。ナフサ価格は四半期ごとに見直され、それが合成樹脂メーカー→製品メーカー→小売と順番に転嫁されていくためです。

封鎖後のタイムライン|1週間後→1ヶ月後→3ヶ月後に何が起きるか

封鎖の影響はすべてが一度に押し寄せるわけではありません。品目ごとに影響が出るタイミングが異なります。

封鎖直後〜1週間

最も早く反応するのはガソリン価格です。原油先物市場の変動が即座に反映されるため、すでに値上がりが始まっています。封鎖直前の全国平均は157.1円/L(2026年2月24日時点)でしたが、野村総合研究所(NRI)の木内登英氏の試算では、封鎖が長期化した場合のベースシナリオで204円/L、完全封鎖が1年続く悲観シナリオでは328円/Lまで上昇する可能性があるとされています。

アジアのLNG(液化天然ガス)スポット価格は封鎖を受けて3月2日に前週比40%超の急騰を記録しました。

1ヶ月後

喜望峰経由の迂回ルートが本格化し、輸送コストの上昇分が船舶運賃に反映され始めます。迂回により1航海あたりのタンカー追加コストは約93万ドル(約1.4億円)、コスト110%増という試算があります。コンテナ船でも最大1,000ドル/TEUの追加費用が発生し、緊急紛争サーチャージとして最大2,000ドル/コンテナが上乗せされるケースもあります。

ホルムズ海峡が紅海の封鎖と異なるのは、ペルシャ湾内の原油積出港から出るにはホルムズ海峡の通過が必須であるという点です。サウジやUAEにはパイプラインによる迂回手段がありますが、その輸送能力は従来のホルムズ経由量の3分の1程度にとどまります。LNG輸送に至っては代替ルートがほぼ存在しません。

食用油やティッシュ・トイレットペーパーなど、原材料在庫が薄い品目から値上げの動きが出始めるタイミングです。

3ヶ月後

ナフサの四半期価格改定を経て、プラスチック製品・合成樹脂製品の値上げが本格化します。おむつ、洗剤、シャンプー、ペットボトル飲料など日用品の価格改定が相次ぐ時期です。

飼料価格の上昇が畜産物に転嫁され始め、肉・卵・乳製品の値上がりが店頭で実感できるようになります。パン・麺類も小麦調達コストの上昇分が反映されてきます。

6ヶ月後(夏ごろ)

LNG価格の上昇が電力会社の燃料調達コストに反映され、電気代・ガス代の値上がりが本格化します。NRI試算では電気・ガス代が10%超の上昇となる可能性が指摘されています。GDP(国内総生産)への悪影響はベースシナリオで年0.18%減、悲観シナリオで年0.65%減。CPI(消費者物価指数)はベースで+0.31%、悲観で+1.14%の押し上げが予測されています。

1973年オイルショックでは何が起きたか

歴史を振り返ると、日本が最も深刻な石油危機を経験したのは1973年の第1次オイルショックです。

原油価格がわずか3ヶ月で約4倍に高騰し、日本のCPIは1974年に23.2%も上昇しました。この異常な物価上昇は狂乱物価と呼ばれました。

特に象徴的だったのがトイレットペーパー騒動です。1973年10月末、大阪・千里ニュータウンのスーパーで買い占めが発生し、全国に波及。トイレットペーパーの価格は1.5〜4倍に跳ね上がり、洗剤・砂糖・塩・醤油も店頭から消えました。政府は紙類を特定物資に指定し、標準価格を設定する事態に追い込まれています。

では2026年の今回は当時と同じことが起きるのでしょうか。構造的な違いを比較すると、まず石油備蓄は1973年にはほぼゼロだったのに対し、現在は254日分が確保されています。一次エネルギーに占める石油の割合も、1973年の約75%から現在は約36〜40%に低下しており、原子力や再生可能エネルギーへの分散が進んでいます。

一方で悪化している指標もあります。日本の輸入原油に占める中東依存度は、1973年の約80%から現在は約94%にまで上昇しています。当時より中東への依存が深まっているのです。NRIの試算では、悲観シナリオの場合にGDP(国内総生産)を年0.65%押し下げ、CPIを1.14%押し上げるとされています。1973年のCPI23%上昇には遠く及びませんが、すでに物価高に苦しむ家計にとっては追い打ちになります。

1979年の第2次オイルショックでは、第1次の教訓から省エネと備蓄が進んでいたため、CPIのピークは7〜8%程度にとどまり、社会パニックは起きませんでした。今回も備蓄の厚みが即時的な品不足を防ぐ最大の防波堤ですが、封鎖が数ヶ月を超えて長期化すれば、価格上昇圧力は確実に強まります。

今すぐできる備え|パニック買い占めせずに家計を守る方法

政府は直ちに供給不安は生じないと繰り返しています。これは事実であり、パニック的な買い占めは1973年の二の舞を招くだけです。

しかし冷静に日常の延長として備えを厚くしておくことは合理的な行動です。以下に具体的な備えをまとめます。

まず食料・日用品のローリングストックとして、普段から使うものを2〜4週間分多めにストックしておくことが有効です。米、乾麺・パスタ、缶詰、レトルト食品、食用油、小麦粉、水(飲料水)、おむつ(乳幼児・介護用)、洗剤・石鹸、トイレットペーパーなどが対象です。特売時に少しずつ買い足していく方法なら家計への負担も少なく済みます。

次にエネルギー面の備えとして、車のガソリンは早めに満タンにしておくこと、暖房用灯油も確保しておくことが推奨されます。

家計の見直しも重要です。光熱費が上がることを見越して、LED照明への切り替え、断熱対策、電力契約の見直しなどを進めておくと影響を軽減できます。車の使用頻度を減らす、まとめ買いで買い物の回数を減らすといった工夫も、燃料費高騰の局面では効果があります。

値上げが予想される品目をあらかじめ把握しておくことも防衛策のひとつです。この記事で紹介したように、食用油、パン、冷凍食品、おむつ、洗剤は早い段階で値上がりしやすい品目です。これらを中心に、普段の買い物のタイミングで少しずつストックを増やしていくのが賢い方法です。

そして最も大切なのは正しい情報源をフォローすることです。首相官邸、経済産業省、資源エネルギー庁の公式発表を優先し、SNS上の不確かな情報に振り回されないことが、家計防衛の第一歩です。

まとめ

ホルムズ海峡の封鎖は、石油やガソリンだけの問題ではありません。原油価格の上昇は物流コスト、肥料、包装材、加温燃料を通じて、食卓に並ぶパンや卵、毎日使うおむつや洗剤にまで波及します。

備蓄254日分という数字は心強いものの、封鎖が1ヶ月を超えて長期化すれば、ほぼすべての食料品・日用品がじわじわと値上がりしていくことは避けられません。

今の段階で大切なのは、パニックに陥らず冷静に備えを厚くしておくこと、そして政府やシンクタンクの正確な情報をもとに家計への影響を見通しておくことです。

情勢は日々変化しています。この記事は2026年3月3日時点の情報をもとに作成しており、新しい展開があれば随時更新していきます。

外交交渉による早期解決が最善のシナリオですが、長期化した場合に備えて、この記事の内容を参考に家計防衛の準備を進めておくことをおすすめします。

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