2026年1月6日、島根県東部を震源とするマグニチュード6.2の地震が発生し、鳥取県と島根県で最大震度5強を観測しました。この地震で特に注目されたのが、鳥取県西部で観測された「長周期地震動階級4」という、聞き慣れない言葉です。これは、4段階ある長周期地震動の階級の中で最大レベルであり、高層ビルに住む人々や、震源から遠く離れた地域にいる人々にとっても、決して他人事ではない深刻な脅威を示唆しています。
この記事では、今回の地震で何が起こったのか、そして「長周期地震動」とは一体何なのか、その恐るべき特徴と、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのかを、専門家の見解や過去の事例、SNSでのリアルな声などを交えながら、徹底的に解説していきます。この記事を読み終える頃には、「自分の住む高層ビルは安全なのか」「遠方にいても影響はあるのか」「具体的にどう対処すればいいのか」といった、あなたの疑問や不安が解消されているはずです。
1. 2026年1月6日島根県東部地震の概要

まずは、今回の地震の基本的な情報から確認していきましょう。
気象庁の発表によると、地震の概要は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生時刻 | 2026年1月6日 10時18分頃 |
| 震源地 | 島根県東部 |
| マグニチュード | 6.2(速報値) |
| 深さ | 約10km |
| 最大震度 | 5強(鳥取県境港市、日野町、江府町、島根県松江市、安来市) |
| 長周期地震動 | 鳥取県西部で階級4を観測 |
この地震は、西北西―東南東方向に圧力軸を持つ「横ずれ断層型」の地震と推定されています。幸いにも、この地震による津波の心配はありませんでしたが、気象庁は今後1週間程度、特に最初の2~3日は、最大震度5強程度の地震に注意するよう呼びかけています。
2. 恐怖の正体「長周期地震動」とは何か?
今回の地震で最大の注目点である「長周期地震動」。一体どのような揺れなのでしょうか。
ゆっくりとした大きな揺れが建物を襲う
長周期地震動とは、その名の通り、揺れが1往復するのにかかる時間(周期)が長い、ゆっくりとした大きな揺れのことです。私たちが普段経験する地震の「ガタガタ」という短く速い揺れ(短周期地震動)とは性質が異なります。周期が2秒から20秒にも及ぶ、船に乗っているかのような、あるいはブランコが大きく揺れるような、ゆったりとした揺れが特徴です。
なぜ高層ビルが危険なのか?―「共振」の恐怖
この長周期地震動が特に危険視されるのは、高層ビルに対してです。すべての建物には、その高さや構造によって揺れやすい周期(固有周期)が決まっています。そして、地震の揺れの周期と建物の固有周期が一致すると、「共振」という現象が起こり、建物の揺れがどんどん増幅されてしまうのです。
- 低層ビル(15階建て程度まで): 固有周期が短く、短周期地震動で揺れやすい。
- 高層ビル(50階建て程度以上): 固有周期が長く、長周期地震動と共振しやすい。
つまり、長周期地震動が発生すると、高層ビルはその揺れに共鳴し、まるで鞭がしなるように、低層階よりも高層階の方がはるかに大きく、そして長く揺れ続けることになるのです。40階建て以上のビルの最上階では、揺れの幅が2メートル以上に達することもあると想定されています。
震源から遠く離れていても安心できない
長周期地震動のもう一つの恐ろしい特徴は、そのエネルギーが衰えにくく、遠くまで伝わりやすい性質です。2011年の東日本大震災では、震源から約700kmも離れた大阪市の高層ビルで、長周期地震動による大きな揺れが観測され、エレベーターの停止や内装材の破損といった被害が発生しました。今回の島根の地震でも、遠く離れた大阪府や福岡県などで長周期地震動が観測されており、この現象が決して震源地周辺だけの問題ではないことを物語っています。
3. 最大レベル「階級4」が意味するもの
気象庁は、高層ビル内での揺れの大きさや被害の程度を示す指標として、「長周期地震動階級」を4つの段階で定めています。今回、鳥取県西部で観測された「階級4」は、その中で最も危険なレベルを意味します。
| 階級 | 人の体感・行動 | 室内の状況 |
|---|---|---|
| 階級1 | やや大きな揺れを感じる。ブラインドなど、吊り下げものが大きく揺れる。 | 室内にいたほとんどの人が揺れを感じる。 |
| 階級2 | 大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる。キャスター付きの家具類がわずかに動く。 | 物につかまらないと歩くことが難しい。 |
| 階級3 | 立っていることが困難になる。キャスター付きの家具類が大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。 |
| 階級4 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされる。 | キャスター付きの家具類は大きく動き、転倒するものがある。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。 |
階級4は、「はわないと動くことができない」ほどの極めて大きな揺れであり、室内の家具のほとんどが移動・転倒する危険な状態を示しています。このような状況では、家具の下敷きになったり、移動してきた家具に衝突したりして、大怪我をする危険性が非常に高くなります。
4. 過去の事例から学ぶ長周期地震動の脅威
長周期地震動による被害は、決して新しい現象ではありません。過去の多くの地震で、その恐ろしさが記録されています。
- 2011年 東日本大震災: 首都圏の高層ビル群が大きく揺れ、多くのエレベーターが緊急停止し、閉じ込め事故が多発しました。また、オフィスでは、固定されていないコピー機が数十センチも移動し、書棚が倒れるなどの被害が相次ぎました。
- 2003年 十勝沖地震: 震源から約250km離れた北海道苫小牧市の石油コンビナートで、巨大な石油タンクが長周期地震動によって揺らされ(スロッシング現象)、タンクの浮き屋根が損傷。その2日後に静電気が原因で大規模な火災が発生しました。
- 1985年 メキシコ地震: 震源から400km以上離れたメキシコシティで、特定の周期の揺れに共振した高層ビルが多数倒壊し、甚大な被害をもたらしました。地盤の特性が揺れを増幅させた典型的な例です。
これらの事例は、長周期地震動が人々の生活や産業基盤に、いかに深刻な影響を及ぼすかを明確に示しています。
5. 専門家が警告する今回の地震と今後の見通し
今回の地震について、専門家はどのように分析し、今後の活動を予測しているのでしょうか。
島根大学の向吉秀樹准教授は、今回の地震が「布部断層」と呼ばれる、これまであまり知られていなかった活断層が動いたことによるものだと指摘しています。そして、より大きな視点として、「南海トラフ巨大地震が近づくにつれて、内陸の地震活動が活発化している」という状況の中で、今回の地震が発生した可能性に言及しています。
一度大きな地震が起きると、その周辺の地盤は不安定になり、同程度の規模の地震が続発しやすくなります。気象庁も、「今後1週間程度、特に2~3日は最大震度5強程度の地震に注意が必要」と強く呼びかけています。
さらに、一部の専門家は、日本海側で発生する地震が、太平洋側の南海トラフの活動に影響を与える可能性も懸念しています。1943年の鳥取地震の翌年に南海トラフを震源とする東南海地震が発生した過去の例もあり、今後の地震活動の推移を注意深く見守る必要があります。
6. SNSで広がるリアルな声と懸念
地震発生直後から、SNS上には多くの人々からの不安の声や体験談が投稿されました。
「タワマンの上層階、船みたいに揺れてる。長周期地震動ってこれか…マジで怖い」
「震源からかなり離れてるのに、マンションの15階でめまいがするほどの揺れを感じた。これが長周期地震動か…」
「島根原発は大丈夫なんだろうか…公式発表は信じるけど、やっぱり不安になる」
「近くのビルの壁が剥がれ落ちてた。古い建物は本当に危ないかもしれない」
これらの声からは、高層階での揺れの恐怖、遠隔地への影響、原発への懸念、そして建物の安全性に対する不安など、人々が抱えるリアルな心情が伝わってきます。特に、「立ちくらみがした」「気分が悪くなった」といった身体的な不調を訴える声も多く、長周期地震動が単なる建物の揺れにとどまらず、人体にも直接的な影響を及ぼすことがわかります。
7. あなたの命を守るために。今すぐできる対策とは?
では、私たちはこの長周期地震動の脅威に対して、どのように備えればよいのでしょうか。特に高層階に住んでいる方、あるいは職場が高層ビルにある方は、以下の対策を徹底することが重要です。
地震発生!その瞬間の行動
- まずは身の安全を確保: 大きな揺れを感じたら、すぐに丈夫な机の下に隠れるなど、頭を守る行動を最優先してください。慌てて外に飛び出すのは危険です。
- 避難経路の確保: 揺れが収まったら、ドアを開けて避難経路を確保します。ただし、エレベーターは絶対に使用しないでください。閉じ込められる危険性が非常に高いです。
日頃からの備え―家具の固定が命を救う
長周期地震動の被害の多くは、家具の移動・転倒によるものです。東京消防庁の調査でも、高層階ほど家具類の被害が大きいことが明らかになっています。
- 背の高い家具はL字金具で壁に固定する: タンスや食器棚、本棚などは、最も危険な「凶器」になり得ます。必ず壁にしっかりと固定しましょう。
- キャスター付きの家具に注意: オフィスなどで多用されるキャスター付きのコピー機や棚は、長周期地震動で室内を暴走します。ストッパーをかけるだけでなく、移動防止用の器具で固定することが不可欠です。
- 物の配置を見直す: 頭上に物が落ちてくるような場所に寝たり、長時間座ったりしないように、家具の配置を見直しましょう。避難経路を塞ぐような物の置き方も避けるべきです。
- ガラス飛散防止フィルムを貼る: 窓ガラスや食器棚のガラスが割れて飛散するのを防ぐため、飛散防止フィルムを貼っておくと安全です。
建物全体の対策
近年の超高層ビルでは、設計段階から長周期地震動対策として、「制震ダンパー」や「免震構造」といった先進的な技術が取り入れられています。お住まいのマンションやオフィスの管理組合などに、どのような対策が施されているかを確認しておくことも重要です。
まとめ
今回の島根県東部地震と、それに伴い観測された「長周期地震動階級4」は、私たちに地震の新たな脅威を突きつけました。それは、震源から遠く離れた場所にいても、特に高層ビルの中にいるだけで、大きな危険にさらされる可能性があるという事実です。
しかし、正しい知識を持ち、適切な備えをすることで、そのリスクを大幅に減らすことができます。この記事で解説した長周期地震動のメカニズムを理解し、過去の教訓に学び、そして具体的な対策を今日から始めることが、あなた自身とあなたの大切な人の命を守ることに繋がります。
地震は、いつ、どこで起こるかわかりません。この機会に、改めてご家庭や職場の防災対策を見直し、万全の備えを整えておきましょう。

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