VTuberの世界は、華やかな配信の裏側で、複雑な人間関係が渦巻いています。特に、異なる事務所に所属するVTuber同士の関係性は、ファンにとっても非常に興味深いテーマの一つです。今回は、かつて「しばみこ」として多くのファンに愛されながらも、現在はその関係が途絶えてしまったとされる、にじさんじ所属の黒井しばさんとホロライブ所属のさくらみこさん、この二人を巡る出来事の真相に迫ります。
多くの憶測が飛び交うこの問題について、この記事では、公になっている情報、SNSでの発言、そしてVTuber業界の構造的な背景を多角的に分析し、二人の間に一体何があったのかを深く掘り下げていきます。この記事を読み終える頃には、単なる不仲説の真相だけでなく、VTuber業界が抱える人間関係の現実についても、より深い理解を得られるはずです。
出会いは突然に…「しばみこ」誕生の瞬間
物語の始まりは2019年初頭に遡ります。当時、にじさんじ所属の「喋れる犬」として活動していた黒井しばさんと、ホロライブ所属の「エリート巫女」さくらみこさんは、事務所の垣根を越えて出会いました。二人の出会いは、多くのファンにとって新鮮な驚きであり、その後の親密な関係の始まりを予感させるものでした。
特に象徴的だったのが、2019年2月7日に行われた「【黒井しば×さくらみこ】ドキドキ♡新婚旅行!~ロスサントス編~【GTA5】」というコラボ配信です。この配信では、二人がゲーム「Grand Theft Auto V」の世界で新婚旅行をするという企画が行われ、その仲睦まじい様子から「しばみこ」というカップリング名が生まれ、瞬く間にファンの間で定着しました。当時の二人は、お互いを「しば」「みこ」と呼び合い、冗談を言い合っては笑い合う、まるで本当のカップルのような雰囲気を醸し出していました。
| VTuber | 所属事務所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 黒井しば | にじさんじ | 喋れる黒い柴犬。マイペースな配信が人気。 |
| さくらみこ | ホロライブ | エリート巫女アイドル。特徴的な滑舌と明るいキャラクターで人気。 |
この「新婚旅行」企画は大きな反響を呼び、その後も二人は何度かコラボ配信を行いました。ファンは二人の関係を温かく見守り、「しばみこてぇてぇ(尊い)」という言葉がSNSを賑わせました。しかし、この幸せな時間は、長くは続かなかったのです。
忍び寄る影…人気格差とVTuber業界の「数字」という現実
二人の関係に変化が生じ始めたのは、さくらみこさんの人気が急上昇したことが一つのきっかけでした。特に、GTA5の配信で偶然生まれた「FAQ」というミームが海外の視聴者の間で爆発的にヒットし、さくらみこさんは国際的な知名度を獲得します。チャンネル登録者数や同時接続者数は飛躍的に伸び、ホロライブを代表する人気VTuberの一人へと駆け上がっていきました。
一方で、黒井しばさんは、当時まだ現在ほどの知名度はなく、いわゆる「数字」の面ではさくらみこさんに大きく水をあけられている状況でした。VTuber業界において、チャンネル登録者数や同時接続者数といった「数字」は、そのVTuberの影響力を示す重要な指標です。企業案件やコラボレーションの機会は、この「数字」に大きく左右されるのが現実です。
さくらみこさんの人気が上昇するにつれて、二人のコラボ配信の頻度は徐々に減っていきました。多忙になったさくらみこさんのスケジュール的な問題もあったでしょう。しかし、それ以上に、二人の間に生じた「人気格差」が、見えない壁となって立ちはだかったのではないかと推測する声も少なくありません。ビジネスとして考えた場合、人気のあるVTuberとコラボする方が、より多くの視聴者を呼び込み、双方にとってメリットが大きいと判断されるのは自然な流れです。このVTuber業界特有の力学が、二人の関係に微妙な影を落とし始めたのです。
決定的な亀裂…「みこおへんじして」事件の真相
そして2019年9月、二人の関係を決定的に変えてしまう事件が起こります。この日、ホロライブは複数のメンバーが出演する大規模なライブイベント「ホロライブ オン ステージ – キミと一緒にお祭り騒ぎ!」を開催していました。さくらみこさんも出演者の一人として、ステージで輝きを放っていました。
そのライブの真っ最中、黒井しばさんが自身のTwitter(現X)に、さくらみこさんへのメッセージを投稿します。
「みこおへんじして 一回でいいからおへんじして」
この投稿は、ライブ中で返信できるはずもない状況のさくらみこさんに向けられたものでした。このあまりにもタイミングの悪い投稿は、ファンの間で大きな波紋を呼びます。一部のファンからは「さくらみこに迷惑をかけるな」「空気を読めないのか」といった批判が殺到。この一件は、相手の状況を考えずに一方的な好意や要求をぶつける行為として「ヘラディスコ(メンヘラなディスコードメッセージ)」と揶揄され、黒井しばさんの行動を問題視する声が強まりました。
もちろん、黒井しばさんに悪意があったわけではないでしょう。ただ純粋に、以前のように仲良くしたかった、構ってほしかったという気持ちの表れだったのかもしれません。しかし、さくらみこさんが大きなステージに立ち、多くのファンがその晴れ舞台を見守っている中でのこの行動は、あまりにも配慮に欠けていたと言わざるを得ません。この「みこおへんじして」事件は、二人の間にあった見えない亀裂を、修復不可能なほどに広げてしまう決定的な出来事となってしまいました。
沈黙の別れ…全コンテンツ削除という決断
「みこおへんじして」事件の後、二人の関係が公の場で語られることはなくなりました。そして、ファンが二人の関係の終わりを確信したのは、さくらみこさんが自身のYouTubeチャンネルから、黒井しばさんとのコラボ動画を含む全ての関連コンテンツを削除した時でした。
思い出の詰まった「新婚旅行」の動画も、二人で笑い合った他のコラボ動画も、全てさくらみこさんのチャンネルから姿を消しました。この一方的なコンテンツの削除は、さくらみこさん側の明確な「関係を断ち切る」という意思表示と受け取られました。なぜ、黒井しばさんのチャンネルには動画が残っているにもかかわらず、さくらみこさんだけが削除に踏み切ったのか。その理由は公式には語られていません。
考えられる理由としては、ホロライブ運営側の方針や、さくらみこさん自身が過去を清算し、前を向くための決断だったのかもしれません。あるいは、一部の過激なファンによる誹謗中傷から身を守るための措置だった可能性も考えられます。いずれにせよ、このコンテンツ削除という行為は、二人の物語が悲しい結末を迎えたことを、ファンに痛感させる出来事でした。
VTuber業界の光と影…「数字」が支配する人間関係
黒井しばさんとさくらみこさんの物語は、単なる二人のVTuberの個人的な問題として片付けることはできません。この出来事の背景には、VTuber業界が抱える構造的な問題が深く関わっています。
前述の通り、VTuber業界は「数字」が絶対的な価値を持つ世界です。チャンネル登録者数、同時接続者数、スーパーチャットの金額。これらの数字が、VTuberの評価や序列を決定づけます。そして、それはVTuber同士の人間関係にも大きな影響を与えます。
コラボレーションは、お互いのファン層を交換し、新たな視聴者を獲得するための重要な戦略です。そのため、コラボ相手を選ぶ際には、どうしても相手の「数字」を意識せざるを得ません。たとえ個人的に仲が良くても、「数字」が見込めない相手とのコラボは、ビジネス的な観点からは敬遠されがちです。また、所属事務所が異なる場合、事務所間の力関係や方針の違いも、コラボレーションの障壁となることがあります。
黒井しばさんとさくらみこさんのケースは、このVTuber業界の厳しい現実を象徴する出来事と言えるでしょう。友情や個人的な感情だけでは乗り越えられない、「数字」という名の壁。それは、多くのVTuberが直面している、光と影の影の部分なのです。
それぞれの道へ…二人の現在地と未来
関係が途絶えてから数年が経った今、二人はそれぞれの場所で活動を続けています。
黒井しばさんは、にじさんじの一員として、マイペースながらも精力的に配信活動を行っています。ゲーム実況を中心に、時には国際コラボも行うなど、独自のポジションを築いています。チャンネル登録者数も着実に伸ばしており、多くのファンに支えられています。
一方のさくらみこさんは、ホロライブを代表するトップVTuberとして、その人気を不動のものにしています。国内外に多くのファンを抱え、大規模なライブやイベントにも多数出演。2025年11月には、長年の誹謗中傷に対して毅然とした態度で対応する配信を行い、その強い姿勢が多くの共感を呼びました。
二人が再びコラボレーションする可能性は、現時点では極めて低いと言わざるを得ません。しかし、時間が経ち、お互いがさらに成長した先で、いつかまた笑い合える日が来ることを願っているファンも少なくないでしょう。
ネットの情報を鵜呑みにする危険性
この件について調べていると、Yahoo!知恵袋などで「有名なデマです」といった指摘や、「デマの流布は開示請求の対象になる」といった警告も見られます。確かに、ネット上には憶測や不確かな情報が溢れており、何が真実で何が嘘なのかを見極めるのは非常に困難です。
この記事で記述した内容も、公になっている事実と、そこから推測される状況を整理したものに過ぎません。二人の間に実際にどのような会話があり、どのような感情のすれ違いがあったのかは、当人たちにしかわからないことです。私たちは、断片的な情報から全体を判断してしまうことの危険性を、常に心に留めておく必要があります。
まとめ
黒井しばさんとさくらみこさんの物語は、VTuber業界の華やかさと、その裏に潜む人間関係の複雑さ、そして「数字」という厳しい現実を私たちに教えてくれます。かつては誰よりも仲が良かった二人が、なぜ袂を分かつことになったのか。その問いに対する明確な答えは、おそらくこれからも語られることはないでしょう。
しかし、この一連の出来事を追うことで、私たちはVTuberというコンテンツを、より深く、多角的に見ることができるようになります。画面の向こう側にいるのは、私たちと同じように悩み、傷つき、それでも前を向いて歩き続ける一人の人間であるということ。そのことを忘れずに、これからも彼女たちの活動を温かく応援していきたいものです。

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