トランプ大統領による相互関税の発動以降、S&P500は一時16%以上急落し、世界の株式市場に激震が走った。2024年から新NISAでインデックス積立を始めた投資家の中には、毎日減り続ける資産残高を見て「このまま続けていいのか」と不安を抱える人も少なくないだろう。
そんな中、一冊の書籍が投資家の間で静かな話題を呼んでいる。鈴木秀裕貴著『トランプ関税でインデックス投資は終焉するのか?:世界大恐慌前夜との5つの戦慄の相似点』だ。本書は、現在の経済状況と1929年の世界大恐慌前夜との驚くべき類似性を指摘し、インデックス投資神話の崩壊に警鐘を鳴らしている。
本記事では、この書籍の核心的主張を詳細に解説しながら、トランプ関税が個人投資家の資産運用に与える影響と、今すぐ検討すべき資産防衛策について掘り下げていく。
書籍の概要:なぜ今「インデックス投資の終焉」が語られるのか
著者・鈴木秀裕貴の問題提起
著者の鈴木秀裕貴氏は、現在のトランプ政権による高関税政策が、保護主義の連鎖を加速させ、世界経済を1920年代後半の状況に逆戻りさせる危険性を指摘している。
書籍の核心的メッセージは明確だ。
「歴史は繰り返す可能性が高く、自分の資産は自分で守る必要がある」
特に問題視されているのは、日本の個人投資家の間で広まった「S&P500や全世界株式に積立投資していれば長期的に必ず報われる」という信仰に近い思い込みだ。過去数十年間、米国株中心のインデックス投資は確かに優れたパフォーマンスを残してきた。しかし、その成功を支えていた前提条件そのものが、トランプ関税によって根底から覆されようとしていると著者は警告する。
本書が提示する5つの相似点
書籍では、現在の経済状況と1929年の世界大恐慌前夜との間に、以下の5つの戦慄すべき相似点が存在すると分析している。
- 保護貿易主義の急激な台頭
- 技術革新の過熱とバブル化
- 債務の異常な蓄積
- 富の集中と格差拡大
- 地政学的緊張と国際協調の崩壊
これらの類似性を一つずつ詳しく検証していこう。
相似点1:保護貿易主義の急激な台頭 ― スムート・ホーリー関税法とトランプ関税の不気味な類似
1930年のスムート・ホーリー関税法が招いた悲劇
1929年10月、ウォール街の株価大暴落(「暗黒の木曜日」)をきっかけに世界恐慌が始まった。当時のフーヴァー大統領は、国内産業保護のために1930年6月、スムート・ホーリー関税法に署名した。
この法律により、約900品目に平均40%以上の関税が課され、アメリカの平均関税率は33%から40%へと跳ね上がった。当時、1000人以上の経済学者が大統領に署名しないよう警告したが、フーヴァーはそれを無視した。
結果は壊滅的だった。オランダ、ベルギー、フランス、スペイン、イギリスなどが直ちに報復関税を発動。世界貿易は急激に縮小し、アメリカの輸出入は半分以下に落ち込んだ。世界恐慌は深刻化・長期化し、最終的にはブロック経済化と第二次世界大戦への道を開いたとされている。
トランプ関税の規模はスムート・ホーリーを超える
驚くべきことに、トランプ政権の相互関税は、その規模においてスムート・ホーリー関税法を上回る可能性がある。
2025年4月2日に発表された相互関税では、日本に24%、中国に34%(後に125%まで引き上げ)、EUに20%、台湾に32%、韓国に25%、ベトナムに46%という高率関税が課された。
ダートマス大学のダグラス・アーウィン教授(経済史)は、「米国GDPに占める物品・サービス輸入の割合が14%と、1930年当時の約3倍に上ることを念頭に、スムート・ホーリー関税法の場合よりもはるかに大きなものとなるだろう」と指摘している。
ブルームバーグ・エコノミクスの分析では、トランプ政策で最大限の措置が講じられた場合、米国の平均関税率は28ポイント引き上げられ、2〜3年で米GDPは4%押し下げられると推計されている。これは米国の生産を約1兆ドル(約150兆円)削減することに相当し、2008年の世界金融危機とほぼ同規模の影響を与える可能性がある。
報復関税の連鎖が始まっている
すでに中国は報復関税を発動し、EUも報復措置を検討中だ。1930年代と同様、「近隣窮乏化政策」の連鎖が始まりつつある。
経済学者の田中秀臣氏は「今のトランプ政権の関税政策と、約100年前のスムート・ホーリー関税法の目的は同じ」と指摘し、「近隣窮乏化政策は必ず裏目に出る」と警告している。
相似点2:技術革新の過熱とバブル化 ― 1920年代の電気・自動車ブームと現在のAI・テック株ブーム
1920年代アメリカの狂騒
1920年代のアメリカは「ローリング・トゥエンティーズ(狂騒の20年代)」と呼ばれ、空前の好景気に沸いていた。
この時代の象徴は、電気と自動車だった。電気の普及により、洗濯機、冷蔵庫、ラジオといった新しい消費財が大量生産され、月賦販売(クレジット販売)という新たな手法で消費が拡大した。フォードのT型自動車は一般家庭にも普及し、「アメリカンドリーム」の象徴となった。
しかし、1920年代後半には早くも商品は飽和状態となり、購買力も低下し始めていた。それにもかかわらず、株式ブームという過剰な投機によって企業は支えられ、さらに増産を続けた。実態を伴わない株価上昇は、1929年10月の大暴落で終焉を迎えることになる。
2020年代のAIブームと酷似する構造
現在のAIブームは、1920年代の電気・自動車ブームと驚くほど似た構造を持っている。
ChatGPTの登場以降、生成AIへの期待は急速に高まり、関連銘柄の株価は急騰した。特にエヌビディアは、2025年10月に史上初の時価総額5兆ドルを記録。「マグニフィセント・セブン」(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、エヌビディア、テスラ)がS&P500のリターンの大部分を占める状況が続いてきた。
しかし、2025年に入ってから状況は一変した。マグニフィセント・セブンは2025年2月末に調整局面入りし、わずか数週間で時価総額約1兆5000億ドル(約223兆円)が吹き飛んだ。テスラはピーク時から50%以上、エヌビディアも時価総額の3分の1近くを失った。
「完璧であるという期待が価格に織り込まれていた」と専門家は指摘する。1920年代末と同様、過度な期待と評価過剰が崩壊を招くパターンが繰り返されようとしている。
バブル崩壊の予兆
S&P500の過去3年間のトータルリターンのうち55%をマグニフィセント・セブンが占めているという事実は、市場の脆弱性を如実に示している。わずか7銘柄の動向が指数全体を左右する構造は、特定セクターの逆風が市場全体に波及するリスクを内包している。
相似点3:債務の異常な蓄積 ― 1920年代の信用膨張と現在の債務危機
1920年代の信用バブル
1920年代のアメリカでは、株式購入のための信用取引が急拡大した。投資家は証拠金わずか10%で株式を購入でき、「誰でも株で儲かる」という神話が広まった。
この信用膨張は、株価暴落時に致命的な連鎖反応を引き起こした。株価が下落すると追加証拠金(マージンコール)が発生し、それを払えない投資家は強制売却を余儀なくされ、さらなる株価下落を招くという悪循環に陥った。
銀行も株式投機に深く関与しており、株価暴落は銀行システムの崩壊につながった。1931年にはドイツ第2位のダナート銀行が破綻し、金融危機は世界に波及した。
現代の債務は過去最高水準
現在、世界の債務残高は2025年第1四半期に324兆ドルを突破し、過去最高を更新した。政府債務の割合は約30%と、これも過去最高だ。
米国の企業債務、政府債務、家計債務はいずれも高水準にあり、金利上昇や景気後退の局面でデフォルト連鎖が起きやすい状況にある。
特に懸念されるのは、トランプ関税によるインフレ圧力と、それに伴う利上げ長期化のシナリオだ。高金利環境が続けば、過剰債務を抱えた企業や家計は返済負担に耐えられなくなり、信用収縮が加速する恐れがある。
日本の投資家への影響
新NISAで投資を始めた日本の個人投資家の多くは、信用取引こそしていないものの、円安・株高の恩恵を受けてきた。しかし、トランプ関税による米国景気後退懸念から円高・株安が進行すれば、為替と株価の「ダブルパンチ」を受けることになる。
実際、2025年4月の相互関税発表後、ドル円は156円台から140円台まで急落。S&P500も約17%下落した。円建てで見た場合の損失はさらに大きくなった。
相似点4:富の集中と格差拡大 ― 1920年代の富裕層偏重と現在のテック大手集中
1920年代の格差社会
1920年代のアメリカでは、経済成長の恩恵が一部の富裕層に集中していた。全人口の1%が国民所得の約15%を占め、格差は拡大の一途をたどった。
農村部では農産物価格の下落に苦しむ農家が多く、都市部の工場労働者も賃金上昇は限定的だった。一方で、株式市場や不動産で利益を得た富裕層は消費を拡大させたが、中間層・低所得層の購買力は伸び悩んだ。
この構造的な需要不足が、やがて過剰生産・過剰在庫問題を引き起こし、恐慌の一因となった。
現代の「勝者総取り」経済
現在の米国株式市場では、マグニフィセント・セブンがS&P500の時価総額の約3割を占めるまでに至っている。NVIDIAとアップルの時価総額合計だけで、日本の株式市場全体を上回るほどの規模だ。
このような市場集中度の高さは、1920年代をはるかに凌駕している。上位数銘柄がインデックス全体を牽引する構造は、一見すると分散投資に見えるインデックス投資が、実質的にはテック大手への集中投資になっていることを意味する。
インデックス投資の「分散」は幻想か
著者の鈴木氏は、この点こそがインデックス投資の最大のリスクだと指摘する。
「S&P500に投資すれば500社に分散投資できる」という説明は、数字の上では正しい。しかし、時価総額加重平均方式を採用するインデックスでは、上位銘柄のウェイトが圧倒的に大きくなる。
S&P500の上位10銘柄で指数全体の30%以上を占める現状では、「分散投資」の効果は限定的だ。マグニフィセント・セブンが総崩れになれば、インデックス全体も大きく下落する。2025年初頭の相場はまさにそれを証明した。
相似点5:地政学的緊張と国際協調の崩壊 ― 1920年代の戦後混乱と現在の米中対立
第一次世界大戦後の国際秩序崩壊
第一次世界大戦後、国際連盟は戦勝国と敗戦国の利害調整に苦心した。ドイツへの過酷な賠償要求は同国の経済を疲弊させ、後のナチス台頭の土壌となった。
1927年のジュネーブ世界経済会議では、恐慌に備えて関税引き下げなど多くの決議が審議・採択されたが、各国議会から無視されてしまった。国際協調の試みは失敗し、各国は自国利益優先の保護主義に走った。
スムート・ホーリー関税法の成立は、自由貿易を原則とした国際経済秩序の終焉を告げるものだった。その後、世界はブロック経済化し、第二次世界大戦への道を歩むことになる。
現代の国際秩序危機
現在、米中対立は貿易戦争にとどまらず、技術覇権、安全保障、イデオロギーにまで及んでいる。トランプ政権による対中関税は累計で145%にも達し、中国も報復関税で応じている。
欧州もまた、米国の関税攻勢にさらされている。EU、カナダ、メキシコなど同盟国への高関税は、戦後築かれてきた自由貿易体制そのものを揺るがしている。
台湾有事のリスク、ロシアのウクライナ侵攻、中東情勢の不安定化など、地政学的リスクは1920年代末を彷彿とさせる水準に高まっている。
グローバルサプライチェーンの破壊
1920年代と現在の決定的な違いは、グローバルサプライチェーンの複雑さだ。現代の製造業は、多くの国・地域にまたがる精緻なサプライチェーンに依存している。
トランプ関税による貿易障壁は、このサプライチェーンを分断し、企業のコスト上昇と効率低下を招く。中国からの迂回輸出への関税措置(ベトナム経由に40%)は、企業のグローバル戦略そのものを見直しを迫っている。
著者は「関税を武器にした外交がグローバルサプライチェーンを破壊し、世界経済の効率性を大きく損なう」と警告している。
インデックス投資への具体的な影響:なぜ「これまでの常識」が通用しなくなるのか
これまでのインデックス投資成功の前提条件
過去数十年間、特にS&P500などの米国株インデックス投資が成功してきた背景には、いくつかの重要な前提条件があった。
1. 米国経済の長期成長 戦後一貫して成長を続けた米国経済は、企業収益の増加と株価上昇をもたらした。
2. グローバル化の進展 自由貿易の拡大により、米国企業は世界中で事業を展開し、収益を拡大できた。
3. ドル基軸通貨体制 米ドルが世界の基軸通貨であることで、米国は財政赤字を拡大しても資金調達に困らなかった。
4. 低インフレ・低金利環境 2008年以降の超低金利環境は、株式のバリュエーション上昇を後押しした。
トランプ関税が崩す前提条件
トランプ関税は、これらの前提条件すべてを脅かしている。
グローバル化の逆流 関税障壁の拡大は、米国企業のグローバル展開を阻害し、収益成長を鈍化させる。サプライチェーンの分断により、コストは上昇する。
インフレ圧力の高まり 関税は輸入品価格を上昇させ、インフレを加速させる。ブルームバーグ・エコノミクスは、PCEコア指数が2.5%近く押し上げられると推計している。
利上げ長期化リスク インフレが高止まりすれば、FRBは利下げを見送らざるを得ない。高金利環境は株式バリュエーションの低下圧力となる。
ドル基軸体制への挑戦 中央銀行による金購入の増加は、ドル離れ(脱ドル化)の動きを反映している。ドルの信認低下は、米国の資金調達コスト上昇につながる。
関税による株価下落の連鎖シナリオ
書籍では、以下のような下落シナリオが想定されている。
- 関税による企業業績悪化 輸入コスト上昇、輸出減少、サプライチェーン混乱により、企業収益が圧迫される。
- インフレ加速 関税コストの価格転嫁により、消費者物価が上昇。実質購買力が低下する。
- 利上げ長期化 インフレ抑制のため、FRBは高金利政策を維持。株式のリスクプレミアムが上昇する。
- 消費・投資の冷え込み 高金利と物価上昇により、家計消費と企業投資が減速。景気後退リスクが高まる。
- 株価の本格的下落 企業収益の悪化と景気後退懸念から、株価は大幅に下落する。
過去の大恐慌時の株価下落幅
1929年の株価大暴落から1932年の底値まで、ダウ平均は約89%下落した。S&P500(当時は90銘柄で構成)も同様の下落を記録した。
回復には長い時間を要し、1929年の株価水準に戻るまでに25年(1954年)を要した。
現在の市場がここまで極端な下落を経験するかは不明だが、著者は「上位銘柄への集中度が当時より高い現在、一度下落が始まれば加速しやすい構造にある」と指摘している。
新NISA投資家が直面するリスク
2024年から新NISAで投資を始めた投資家は、特有のリスクに直面している。
タイミングリスク 「いつ始めても長期で見れば報われる」という主張は、過去のデータに基づくものだ。しかし、1929年に投資を始めた人は、元本回復まで25年を要した。
為替リスク 円建てでの米国株投資は、株価と為替の二重のリスクを負う。円高・株安局面では損失が増幅される。
心理的リスク 含み損を抱えた状態で積立を続けることは、精神的に困難だ。多くの投資家が下落局面で売却し、その後の回復を逃してしまう。
著者は「新NISA開始のタイミングが、歴史的な転換点と重なってしまった可能性がある」と懸念を示している。
書籍で提案される資産防衛策:今すぐ検討すべき具体的アクション
米国株依存からの脱却
書籍の最も重要な提言は、米国株一辺倒の資産配分を見直すことだ。
「S&P500だけでいい」「オルカン(全世界株式)に積立していれば安心」という考え方は、米国経済の長期成長を前提としている。しかし、トランプ関税による保護主義の台頭は、その前提を揺るがしている。
実際、2025年に入ってからS&P500は上昇率7.8%にとどまる一方、S&P500を除いたMSCI世界指数は18%上昇と圧倒している。メキシコ18%、カナダ12%、ドイツ21%、スペイン26%、ブラジル14%と、米国以外の市場が好調だ。
「トランプ関税が国際株式市場に大きな追い風となっている一方、米国株の独走状態は終わりを迎えつつある」という分析もある。
金や実物資産へのシフト
書籍が強く推奨するのが、金(ゴールド)への投資だ。
2025年、金価格は歴史的な上昇を記録している。年初来の上昇率は67%に達し、1979年以来の年間最高上昇率となる見込みだ。1オンス4450ドルを突破し、史上最高値を更新し続けている。
金が注目される理由
- インフレヘッジ 紙幣の大量印刷でマネーサプライが増加する中、金は価値保存手段として選好される。
- 有事の安全資産 地政学的リスクが高まる局面では、「有事の金」として資金が流入する。
- ドル安ヘッジ ドルの信認低下懸念から、代替資産としての金需要が増加。
- 中央銀行の買い 世界の中央銀行は2022年以降、金購入を急速に拡大。2025年も高水準の需要が続いている。
歴史的な危機時の金の強さ
2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックなど、危機時には金が安全資産として再評価され、価格上昇を見せた。1929年の大恐慌後も、金本位制からの離脱とともに金価格は上昇した。
分散投資の本質的な見直し
著者は、「分散投資」の概念そのものを見直す必要性を説いている。
株式・債券だけでは不十分 伝統的なポートフォリオ理論では、株式と債券の組み合わせがリスク分散の基本とされてきた。しかし、2022年のように株式と債券が同時に下落する局面では、この分散効果は機能しない。
通貨・商品・地域の多角化 真の分散投資とは、以下のような多角化を意味する。
- 通貨分散:円、ドル、ユーロなど複数通貨での資産保有
- 商品分散:金、銀、銅など実物資産への投資
- 地域分散:米国偏重からの脱却、新興国・欧州への分散
- 資産クラス分散:株式、債券、不動産、コモディティの組み合わせ
暴落時の心構えと具体的な行動指針
書籍では、暴落時の対応についても詳しく解説されている。
やってはいけないこと
- パニック売り:恐怖に駆られた売却は、往々にして最悪のタイミングになる
- 底値を狙った買い増し:「もっと下がる」「二番底が来る」と考えて買えなくなる
- 情報の氾濫に振り回される:SNSやニュースの悲観論に影響されすぎない
やるべきこと
- 事前にルールを決めておく:下落率◯%で◯%現金化、など
- 長期視点を忘れない:短期の変動に一喜一憂しない
- 資産配分を定期的に見直す:リバランスの機会と捉える
- 生活防衛資金を確保する:投資資金と生活資金を明確に分ける
現在の市場状況とのリンク:書籍の予見が現実化しつつある
2025年の市場動向を振り返る
2025年に入ってからの市場動向は、書籍の警告が現実化しつつあることを示している。
4月の関税ショック 4月2日の相互関税発表後、世界的な株安が発生。日経平均は37,000円台から31,137円まで約6,000円の急落。S&P500も4月8日には4,982ポイントまで下落し、年初来15%以上のマイナスを記録した。
VIX恐怖指数の急騰 4月7日にはVIX指数が60.13まで急上昇。これは2008年金融危機や2020年コロナショック時に匹敵する水準だ。
トリプル安の発生 通常の景気後退懸念では「株安・債券高・ドル高」となるが、今回は「株安・債券安・ドル安」のトリプル安が一時的に発生。米国への信認そのものが揺らいでいることを示唆した。
ゴールド価格の急騰
金価格は2025年、歴史的な上昇を見せている。
- 年初来上昇率:67%(1979年以来最高)
- 国内店頭小売価格:1グラムあたり27,000円台に到達(史上最高値更新)
- ドル建て価格:1オンス4,450ドル突破
ゴールドマン・サックスは2026年末の金価格予想を従来の4,900ドルから5,400ドルに引き上げた。中央銀行や個人投資家による買いが続くと予想されている。
今すぐ見直すべきポイント
書籍の分析と現在の市場状況を踏まえ、以下の点を見直すことが推奨される。
1. ポートフォリオの米国株比率 S&P500や全世界株式(オルカン)への偏重は、米国リスクへの過度なエクスポージャーを意味する。欧州、新興国、日本株への分散を検討すべき時期かもしれない。
2. 金・実物資産の保有比率 ポートフォリオの5〜20%程度を金などの実物資産に振り向けることで、株式暴落時のヘッジ効果が期待できる。
3. 為替ヘッジの活用 円高リスクが懸念される局面では、為替ヘッジ付きの投資信託を活用することも選択肢となる。
4. 現金比率の見直し 暴落時の買い増し資金、または生活防衛資金として、一定の現金を確保しておくことの重要性が増している。
結論:自分の資産は自分で守る時代へ
トランプ関税による世界経済の混乱は、一時的な現象ではない。それは、戦後築かれてきた自由貿易体制の根本的な転換を示唆している。
本書が警告するように、現在の状況は1929年の世界大恐慌前夜との間に驚くべき類似点を持っている。保護主義の台頭、技術バブルの過熱、債務の異常蓄積、富の集中、国際協調の崩壊——これらすべてが同時進行している。
「S&P500に積立投資していれば長期的に必ず報われる」という信仰は、過去数十年の特殊な環境で培われたものだ。その前提条件が崩れつつある今、インデックス投資の「常識」を見直す時期が来ているのかもしれない。
もちろん、歴史は完全に繰り返すわけではない。1930年代とは異なり、各国政府や中央銀行は金融危機への対応経験を持っている。しかし、「最悪の事態は起きない」という楽観に身を委ねるのは危険だ。
自分の資産は自分で守る——この原則を改めて胸に刻み、ポートフォリオの見直しに取り組むべき時が来ている。
書籍『トランプ関税でインデックス投資は終焉するのか?:世界大恐慌前夜との5つの戦慄の相似点』は、この激動の時代を生き抜くための羅針盤となるだろう。単なる恐怖煽りではなく、歴史的事実と論理に基づいた分析は、冷静な判断を下すための材料を提供してくれる。
インデックス投資を続けるにせよ、資産配分を見直すにせよ、重要なのは「なぜそうするのか」を自分自身で理解し、納得した上で行動することだ。
今こそ、思考停止の「ほったらかし投資」から脱却し、自分の頭で考える投資家になる時ではないだろうか。
※本記事は特定の金融商品の推奨を目的としたものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。

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